ジョニー・アイブが人生とデザインについて語る ― Apple以前と以後

元アップルのデザイン責任者、ジョナサン・アイブ氏がマスコミに話す頻度は比較的少ないが、その理由の一つは、彼がいつも同じ質問をし、結局同じ話を繰り返しているからであることは明らかだ。

しかし、 WSJマガジン副編集長エリサ・リプスキー＝カラス氏との最近のインタビューのように、いくつかのインタビューではさらに多くのことが明らかになっている…

Apple 以前、Apple 時代、そして Apple 以後の期間を網羅したこの長編記事には、馴染みのある内容が多く含まれている。

ジョニー・アイブは素材について、そしてデザインを大量生産するという現実的な側面を考慮しなければ、工業デザイナーとは言えないという点について多くを語っています。彼は父親の工房で手作りの物を作り、自らを職人だと自認していることをしばしば語ってきましたが、この作品では、製造の実現可能性について苦い経験を通して学ばなければならなかったことを明かしています。

1990年、アイブはロンドンの新しい広告代理店、タンジェリンのパートナーになりました。アイディアル・スタンダードからセラミック製のバスルームデザインの開発を依頼され、彼は徹底的な歴史的調査を行い、無数のプロトタイプを作成しましたが、完成した提案は製作が難しすぎると判断されました。

もちろん、スティーブとの関係についても触れられており、彼がAppleのためにデザインした製品や、Apple Parkキャンパスの設計における彼の役割についてもいつものように説明されている。これらはすべて彼にとって馴染み深い話題だ。

リプスキー・カラス氏は自身のデザインコンサルタント会社「LoveFrom」で、アップルの影響は明らかだと語る。

アイブ氏がニューソン氏と2019年に共同設立したサンフランシスコを拠点とするクリエイティブ集団、LoveFromのオフィスは、Apple Parkに比べると小さいながらも、同じようにオープンだ。（アイブ氏はAppleを設立した同じ年に同社を退職した。何か意義深いことを成し遂げ、そこで学んだことを新たな問題の解決に活かす責任を感じたからだ、と述べている。）オフィス空間を仕切る壁はない。オフィスは会話で賑やかで、時にはアイブ氏のオフィス外にあるツインレストラン「Cotogna」と「Quince」で会話が続くこともある。

アップルの製品リリースに関する秘密主義の名残は今も残っており、サンプルはクライアント向けに作られたものでも、アイブ氏が独自に発表する製品用でも、特製のスエードカバーに包まれている。

「デザインとは、製品がどのように見えるかではなく、どのように機能するかである」という繰り返しは、私にとって馴染みのある領域ですが、これまで聞いたことのない内容もありました。

アイブのアプローチで驚くべき点は、スケッチではなく会話からプロジェクトを始めることが多いことだ。思考、そしてその思考について話すことこそが、彼が扱う素材なのだ。「言葉には大きな力がある」とアイブは言う。「もし私が『椅子をデザインする』と言ったら、それがどれほど危険なことか考えてみてください。『 椅子』と言ったということは、何千ものアイデアに『ノー』と言ったことになるのです。

「ここが面白いところです」と彼は言う。「アイデアは未検証で、解決もされていません。解決済みのアイデアは製品ですからね。そして、そのアイデアについて具体的にわかるのは問題点だけです。誰かが「それは不可能だ」と言った時、なぜ不可能なのかしか示されないなら、考え方を変え、行動しなければなりません。勇気を持って、「私は可能だと信じています」と言わなければなりません。

アイブ氏の好奇心についての考え方も好きです。